約20年前の衝撃!
Wikimedia Commonsより引用
私が結婚した約20年前に、海外のNewsでビルの屋上緑化という報道がありました。あまり聞きなれない言葉故に、(どういうことなのだろう?)と思いながら興味深く番組を最後まで見続けたことがありました。
今では、屋上の庭園や家庭菜園もあり具体的なイメージを描けるでしょう。
でも当時は、とてもセンセーショナルなことでした。
Chicago City Hall Green Roof!
アメリカで3番目に大きい都市
Land8より引用
屋上緑化を提案し、実際に推進していたのはシカゴ。ニューヨーク、ロスアンジェルスについで全米3番目の大都市ですが、実はシカゴはとても特徴のある大都市の1つなんです。
・NFL(アメリカンフットボール):ベアーズ
・NHL(アイスホッケー):ブラックホークス
・NBA(バスケットボール):ブルズ
・MLB(野球):カブス・ホワイトソックス
これらの有名な4大スポーツもあります。バスケットボールの神様とも評されるMichael Jeffrey Jordan。15年間の選手生活で得点王10回、年間最多得点11回、シカゴ・ブルズを6度の優勝に導いた実績があります。
また、特にトウモロコシや大豆などの穀物の先物価格形成に強みを持つシカゴ商品取引所(Chicago Board of Trade)も一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
そのシカゴ市庁舎の屋上にあるのは、Green Roofと呼ばれる緑の空間です。
世界の国々における都市の屋上緑化を研究。当時のリチャード・M・デイリー市長が導入した経緯があります。
Chicago Mayor Richard M. Daley
ウィキペディア(Wikipedia)より引用
父親にリチャード・J・デイリー元市長、その息子のリチャード・M・デイリーはシカゴでの最長在職記録保持者です。親子で市長を務め2010年12月26日に、デイリーは父親を抜いて最長任期市長となりました。
1998年当時のリチャード・M・デイリー市長は、シカゴなど5つの都市における、国環境保護庁(USEPA)のヒートアイランド・パイロット・プロジェクトの一環としてデモンストレーション及び都市部おける外部気温の上昇抑制(ヒートアイランド現象の)打開を目標に掲げます。
そのための施策としてシカゴ市庁舎への屋上緑化が導入されたのです。約400,000ドルの施工費を費やし、100種類以上の植物の栽培により約2,000m2の屋上緑化が完成しました。これらのデモンストレーションには、粗放的(培地の厚さ7.5〜10cm)と半粗放的(培地の厚さ20〜30cm)の2種類の栽培方法で自主生育が可能かどうかも含まれています。
Great Chicago Fire シカゴ大火、その後のシカゴ!
Greenroofs.comConnecting the Planet + Living Architectureより引用
私も仕事やプライベートでも、何かに挑戦することや導入することに対しては費用対効果と効果検証を行います。難しく考えずに、どんなメリットが想定されるのでしょうか?
シカゴ市における屋上緑化、すなわちGreen Roofはどのような意味合いがあるのでしょう?検証してみます。
大気汚染物質の浄化
緑の屋根(Green Roof)から、植物や微生物の行う光合成により二酸化炭素の吸収が推進され、有機化合物の一種ホルムアルデヒド (formaldehyde)や芳香族炭化の水素ベンゼン (benzene)の除去にもつながることで大気汚染物質の浄化に効果があります。
省エネ効果
省エネによって削減できたエネルギー量は、「原油換算」「CO2削減量(二酸化炭素換算)」により表示することが可能ですが、緑の屋根(Green Roof)により直射日光の遮断と建物への遮熱効果が期待できます。屋上部の階下への熱の抑制と室内気温を下げられることから電気コストの削減と省資源対策・地球温暖化の防止にもつながります。
建築物の保護効果
緑の屋根(Green Roof)により、紫外線や酸性雨から建築物の保護効果。そして屋上面の夏季と冬季の温度差による床膨張や収縮といった熱変化にも対応。特に表面の露出とそうでない場合も含め、建造物の劣化頻度の低下が期待できます。
熱の上昇を下げる役割
ヒートアイランド(熱の島: urban heat island)とは、都市部の気温が郊外部と比較すると高温を示す状態を言います。熱中症の増加や冬季での感染症を媒介する生物の越冬が問題点としてあげられます。屋上緑化では、直射日光が植栽面や土壌面からの水分の蒸発という形で、熱を下げる効果につながります。これにより建物が夜になっても高温を維持し続ける状態の回避にも効果があります。
教育・癒しの効果
大都市のシカゴでは、人口的な高層ビルが乱立されていますが、緑の屋根(Green Roof)により安らぎや安心感を提供する場所にもなります。こうした癒しの空間だけでなく、尊い生物の成長過程や種類、種別名といった環境学習にも期待できます。さらには実際に緑に触れることで、問題となっているヒートアイランド現象や地球温暖化といったテーマーにも導けるでしょう。
約20年前に見たシカゴ市の取り組み。環境問題にも前衛的な内容とそれによる波及効果は数値では表現できないと思います。実際に世界各国での屋上緑化による導入例としては、病院の屋上緑化です。患者さんの精神や肉体的な療法として園芸療法というものがあります。これは、種まきや水やり、植物の生育体験を通して心身の機能を改善を目的とし、リハビリテーションや治療、福祉、教育、レクリエーションに生かそうというものです。
身体を動かさない状態が続くことで、心身の機能が低下する生活不活発病を抑止するのに園芸療法を推奨している団体も見受けられます。植物を育てることで発芽やつぼみへの成長、さらには成長した野菜を食すこと。これらは季節の違いや五感を刺激することにもなります。またこれらの園芸作業は、運動の促進や野菜を食べることで食欲増進にもつながります。
約20年前に見たChicago City Hall Green Roofは、私に多くの教養をあたえてくれたことは間違いありません。
We love Chicago!!
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