Z世代の「昆虫食」クリエイター
激変する社会のなかで育ち、社会問題への関心が高く、起業家精神が旺盛な1990年中盤以降生まれの「Z世代」。
昆虫食クリエイターの篠原祐太さんもそんなZ世代を象徴する1人です。
コオロギラーメンや種々の虫を使用したコース料理などを考え、食としての昆虫の魅力を発信しています。40000匹の生物と生活を共にし、4歳から続ける昆虫食の可能性を探る日々。
2015年には、東アフリカ諸国を巡る旅に出発。さらなる昆虫食の探求や現地の文化を見て回っています。
そんな篠原さんの価値観を探ってみようと思います。
人間関係がすべて
単純に子どもの頃から虫をつかまえて食べていたという篠原祐太さん。
小さい頃は、ただ純粋に昆虫は魅力的で、昆虫は美味しいと思っていたんですが、次第に周りの人たちの虫に対するリアクションを見るうちに、これはきっと言っちゃいけないんだろうと敢えて口に出さなかったようです。
小学校から高校生のなかでは、人間関係がすべてで友達に嫌われたくなく、食べるどころか「虫が気持ち悪いふり」をして生きていたと話します。
SDGs、「持続可能な開発目標」講演を郡山女子大学附属高にて開催
自由に発信できるからこそ、賛否両論が!
好きなことは隠さず好きだと、言って良いかなと思えてきた。
昆虫食をカミングアウトし始めた時は、「虫が気持ち悪いからSNSに写真をアップしないでほしい」キャラづくりまでして目立ちたいのか」と批判も受けたようです。
匿名のフォロワーからは中傷され、リアルに僕を知る人の裏アカだと思われる非難のコメントもあり、落ち込んだことも。
しかしZ世代の篠原祐太さんは、自由に発信できるからこそ、賛否両論が当然だと認識するようになっていくのです。
コオロギビールと原料にタガメを使用したチョコレートブラウニー
コオロギをだしに使ったコオロギラーメン、コオロギを副原料にしたコオロギビール。名前を聞くだけで拒否反応を起こす人も多いですが、ラーメンは煮干しラーメンの「ラーメン凪」さんと共同開発し、ビールも気鋭のクラフトビールメーカー「遠野醸造」さんと製造。
食としての、純粋に美味しいものを目指し開発したことにより、一口食べ昆虫食に対するイメージが変わったと言っていただける場合も多いという。
「昆虫食」の魅力を伝える活動に奮闘中。虫フレンチ、虫和食、虫スイーツ、虫カクテル等の虫料理の創作・販売から、ケータリング、昆虫食ワークショップ実施と幅広く手掛ける。中でも、コオロギで出汁をとる世界初の「コオロギラーメン」は大反響を呼んだ。
地球少年【篠原祐太】 | Earth Boy “Yuta Shinohara”
昆虫にフォーカス
虫の味が、何に影響を受けるのでしょう?そう疑問符をなげかけ、桜の木に付着する毛虫は、桜の葉を食べて育ちまるで桜餅のような上質な風味があると話します。
同じように、同種類の幼虫に違う葉を食べさせると、それぞれのふんはすべ異なったう味がする、つまり虫を味わうでその虫が育ったルーツを知ることにつながります。
「虫が好き」というより「虫も好き!」、虫も野菜も肉も魚も地球上のすべてを美味しくいただきたいから、今一番世の中で広まっていない昆虫にフォーカスしている感覚と篠原祐太さんは述べています。
昆虫食歴21年
新卒でメガバンクに入行後、わずか3カ月で退職。狩猟免許や森林ガイド資格も保持し、篠原さんのTwitterフォロワーはなんと約1万3000人に。
国際金融グループ・バークレイズのレポートでは、「昆虫食」は2030年までに(約8600億円)規模のビジネス食材と予測。
さらに国連食料農業機関(FAO)よると、2050年までの世界人口の急増と深刻な食糧危機の解決策として昆虫食は“新たなタンパク質供給源”と報告されています。
タンパク質供給源としての昆虫食が持つポテンシャルと、篠原祐太さんの活躍のステージも大きく広がりつつあるようです。
1994年、地球生まれ。慶應大学卒業後、京都造形芸術大学に在学中。昆虫食伝道師。
虫料理の創作から、ケータリング、執筆、講演など、幅広く手掛ける。
世界初の「コオロギラーメン」は大反響、お店開業に向け準備中のようです。