自動車盗難技術はより先鋭化に
車両盗難手口としてリレーアタックという手法が主流でしたが、自動車盗難技術はより先鋭化が進んでおり、CANインベーダー(CAN-INVADER)という技術が登場したのです。
CANインベーダーとは、車のいたるところに通っている「CAN信号」という配線を経由して車両のシステムに侵入し、解錠やエンジン始動などを行う盗難手法です。
リレーアタックに変わる形で2017〜2018年頃から増え始めており、多くの犯行手口はフロントバンパーを外し、CAN信号の設置されている端子に特殊機械を接続するのです。
これにより、制御システムに侵入し、解錠やエンジン始動などを行う盗難手法となっています。今回はこのCANインベーダーについて調べてみようと思います。
Bosch社が車載ネットワーク用に開発
CAN(Controller Area Network)は、Robert Bosch社によって1986年に仕様が公開され、1994年には国際規格(ISO 11898)となっています。現在もっとも普及している車載ネットワークプロトコルです。
自動車メーカーは、ポイントツーポイントシステムを用い、車載電子装置間の接続を行っていました。
しかし車載電子部品の増加により、重く高価なワイヤーハーネスよりも、専用の配線を車載ネットワークに変更することにより、配線コストの削減、軽量化及び簡素化が可能になったのです。
ほぼ運転席の足元にあるOBD
自動車はコンピュータで制御するようになり、電気信号で管理しています。
クルマにはOBDと呼ばれる専用のコネクターがあり、ディーラーなどで自動車を修理する場合、スキャンツールと呼ばれる診断機を接続し、異常の内容や履歴を読み取ることが可能です。
OBDの専用コネクターは運転席の足元にあることがほとんどで、今回のCANインベーダーは、自動車の様々な情報が集約されるOBDへと不正にアクセスし、盗難する車両の解錠や、エンジンの始動を行い運転ができる状態にするのです。
OBDは現在、OBD2(オービーディーツー)にバージョンアップされています。(OBD2:On Board Diagnosis second generationにバージョンアップ)
今回の本題でもあるCANインベーダーは、このOBDUの「CAN信号」という配線にアクセスすることにより、システムの介入につながっていくのです。
CAN信号は専用の機器さえあれば、なんと車外からもアクセス可能となっており、スマートキーは不必要なのです。
CANインベーダーにより、純正カーアラームの解除や該当車両のスマートキーの複製が出来てしまうのです。
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OBD2アダプタと通信(Bluetooth、Wi-Fi)
先ほどの説明分にて、CAN信号は専用の機器さえあれば、なんと車外からもアクセス可能となっており、スマートキーは不必要なのです。
実は最近のOBD2に接続する対応品は、スマートフォンやタブレット、ディスプレイなどを「表示端末」として活用するタイプが多くなっています。
実際に表示端末に、OBD2アプリをインストールし車両のOBD2コネクタに挿しこんだOBD2アダプタと通信(Bluetooth、Wi-Fi)をする仕組みとなっています。これには有線ケーブルタイプの商品もあります。
OBD2接続対応のカー用品
OBD2接続対応のデジタル燃費計やタコメーター、デジタル水温計など数多くの商品が販売されるようになりました。
通常、純正のメーターディスプレイ内には、水温系やタコメーター、それに速度計も設置されています。
しかし純正の水温計だとオーバーヒート直前でないと水温系の指標が変化せず、スポーツ系であれば尚のこと、リアルタイムに各種状況の把握が必要となります。その為に、OBD2接続対応機器のデジタル燃費計やタコメーター、水温計を設置していますと以前メカニックから、聞いたことがあります。
OBD2接続対応のメリットは、なんとなくおわかりでしょう。
ではOBD2接続による注意点はあるのでしょうか?
OBD2接続対応の商品は、キー連動「ON/OFF」機能がある商品を選ばなければなりません。これは、エンジンを切ってもOFFにならず、バッテリーが上がってしまうこともあります。
正確には、キー連動の端子から、信号を取得しすることで、エンジン停止で「OFF」になるのです。しかし一般の方がこの配線をするのは難しいかもしれません。
特に説明書等で、バッテリー上がりが指摘されている商品には、注意して下さい。ただOBD2コネクタに差し込むだけのタイプは、「ON/OFF」制御が難しいのが現状です。
CANインベーダー対策は不十分
On Board Diagnosis second generation(OBD2)は、システムツールとして整備上において、とても有益な端末となっています。
世界各国の自動車メーカーの統一規格でもあり、ECUやブレーキのレスポンス調整などもOBD2にアクセスすることでチューンすることが可能です。
実際にトヨタのプリウスのブレーキ調整がそうであったように。
今回の幾つかの高級車の盗難には、前部バンパー設置箇所にありますCANデーター中枢へのアクセスが絡んでいるようです。ハーネスやコネクターの取り出しが比較的に容易な箇所だったのかもしれません。
各車両のイモビライザーや高級車に機能する遠隔操作による車両停止も無意味なものになりつつあります。答えの見いだせないテーマですね。
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スマートキーの電波を活用
スマートキーの電波を活用した盗難方法に、リレーアタックというものがあります。
実はスマートキーからは、とても微弱な電波が出力されています。この微弱な電波を車両が受信することで、ドアロックの解除や制御ができる仕組みとなっているのです。
標準的なスマートキーの電波の届く範囲は1〜3mであり、この微弱な電波をブースト(増幅)させる外部機器を用いることで、車両とスマートキーとの距離が離れていても、制御された車両を解除するのがリレーアタックなのです。
たとえスマートキーが屋内にて保管されていたとしても、この微弱な電波さえキャッチし、リレーアタックにより電波を増幅さえ出来れば、該当車両の制御が可能となるのです。