消防署から電源は一次側から取得を
分譲マンションの大規模修繕工事に伴い、電気照明機器の全交換と照明回路の自動化という課題を頂きました。
また当マンションの消防設備の事前検査において、非常灯や自動火災報知器の電源回路を1次側から取得するようにと指摘をうけております。
分電盤工事の中で、非常用消防設備における1次側からの電源取得とはどういうことなのでしょうか?
個々の電気工事のなかでも比較的増加傾向にある今回の事案について調べてみようと思います。
なつかしい松下電工製カジノン
マンションの大規模修繕にともなう電気設備の改修事業は、分譲マンションの定例理事会における改善計画のお知らせから始まり、業者からの見積や住民による事案の検討、多数決による議題決定といくつかのプロセスを追っていくようです。
実は今回の電気設備工事は、私自身の住むマンションに関する内容でもあり、予算(見積書)の作成段階から利益よりも奉仕の気持ちで提案しております。
税込みトータル金額で、他社を寄せ付けず本案件を獲得しています。
上記画像は、当マンション施工当時に設置された松下電工製カジノン、昭和57年製です。停電対応の蓄電池も切れ交換をしましたが、コンデンサーの容量不足に陥った為、すべての自火報設備も交換しています。
事前に停電のお知らせを告知
鮮明とは言えない画像ですが、赤い丸で囲んだ箇所が今回の主な工事箇所です。
中央の赤い丸は、東京電力の30Aサービスブレーカ(主幹)になり、左下の赤い丸が2次側ブレーカです。
消防法による指摘内容として、サービスブレーカの2次側に火災報知器のブレーカーが接続されていますが、1次側接続に切り替えをしなさいという事になります。
この分電盤内の切り替え工事に必要な2次側ブレーカ、ケーブルや端子、また名称表示に必要な赤いテプラなど事前準備を怠らずに工事当日に挑みます。
住民に対する停電のお知らせも必要なため、英語・中国語・そして日本語で共用部に告知します。
直前に判明した友締め不可
工事当日は朝の6時から30分間だけ、全世帯の停電を実行することに決定。
電灯主幹ブレーカには大電流が供給されており、失敗も許されないことから事前に現場調査を実施。各世帯への銅バーを確認しつつ、交換予定のブレーカーも覗き込みます。
ここで気になった点が浮上します。東京電力の30A主幹ブレーカは、L・N・Eそれぞれに5.5mmケーブルの2本差し、友締めが出来ないことが判明。それに、今日日(きょうび)、マイナスネジはいりません。
電気従事者なら、これでもかというくらいトルクのかかったマイナスネジ。いりません。
工事当日に友締めできません、次回もう1度仕切り直しの全世帯停電をさせてください・・・言えません。現調は必要ですね。
早朝の30分間全世帯停電
結局、東電の30Aサービスブレーカも要交換となり、2個のブレーカーの取り換えと接続作業それに絶縁抵抗値の取得が当日の工事内容となりました。
早朝6時からの僅か30分間ですが、真夏日の昨今、全世帯の停電という事態は意外とシビアなものとなっています。
また事前準備ありといえども、端子圧着や各ネジの確実なマス締めに最後の復旧確認含めての30分は緊張の連続です。
背後にマンションの理事長と副理事の視線を直に受け、ひとり指差し呼称をしつつ、時間内に確実な施工を実施。完了です。